2 : ◆LbeDggmp36 :2016/01/10(日) 17:16:13.06
いろは「……」ハァ
八幡「なんだよ?」
いろは「……先輩に気付けってほうが無理でしょうし、別に気にしてませんよ」
八幡「……そういうことか」
いろは「なんです? 期待はしてませんけど、一応聞いてあげますよ」
八幡「手袋忘れたのか。それでさっきからあざとく手を擦ってたわけか」
いろは「せ、先輩……」ドキドキ
八幡「カイロ代わりに温かい飲み物奢ってほしいんだろ?」
いろは「……」
八幡「まぁ、たまには奢ってやっても……」
いろは「この唐変木!」ベシッ
八幡「な、なにすんだよ!」
3 : ◆LbeDggmp36 :2016/01/10(日) 17:26:53.71
八幡「ほれ」ポイッ
いろは「ありがとうございますー」
八幡「ったく、俺の推察は合ってたんじゃねえか。なんで、叩かれなきゃいけなかったわけ?」
いろは「いえ、見当違いもいいとこでしたよ。少女漫画でも読んで女心を勉強してください」
八幡「……なら、なんで奢らせたの?」
いろは「もらえるものはもらっておこうと思って」
八幡「お前って本当にいい根性してるよな」
4 : ◆LbeDggmp36 :2016/01/10(日) 17:29:26.08
八幡「それで、今日はなに買うの?」
いろは「部活で着るジャージを買おうかなって」
八幡「そうか……」
いろは「なんで、ちょっと安堵してるんですか?」
八幡「今回はまともな買い物なんだなって思ってよ。この間はとんでもないとこ連れて行かれたからな」
いろは「この間だって普通のお店でしたけど?」
八幡「……男からすれば、まともじゃないんだよ」
いろは「えー? なんでですかー?」
八幡「女物の下着屋だからだよ」
5 : ◆LbeDggmp36 :2016/01/10(日) 17:32:01.17
いろは「別に男の人は入店禁止されてるわけじゃありませんけど」
八幡「それでも、男が入る店ではねえだろ」
いろは「まぁ、男性だけで来てる人は見たことないですけど、カップルで来てる人達ならよく見かけますよ 。仲睦まじく選んだりしてるのを見ると、殺意がわ、羨ましいなって思いますけど」
八幡「おい、本音が隠しきれてねえぞ」
6 : ◆LbeDggmp36 :2016/01/10(日) 17:34:46.99
八幡「なんでリア充ってのは人前でイチャつこうとすんのかね。どんだけ自己顕示欲が強いんだよ」
いろは「……先輩は人前で手繋いだり、腕組んだりするのは嫌ですか?」
八幡「当たり前だろ。なんなら、どんな状況下でも他人と接触するのが苦痛まである」
いろは「……そうですよね」
八幡「どうした?」
いろは「いえ、朴念仁で唐変木な先輩ですもん。そう考えてなきゃおかしいっていうか、そうじゃなきゃ気持ち悪いし。むしろ、普通にしてても目が気持ち悪いし……」
八幡「なぁ、なんで貶されてんの、俺?」
7 : ◆LbeDggmp36 :2016/01/10(日) 17:36:59.00
千葉 パルコ
いろは「これ可愛くないですかー!」
八幡「……おい」
いろは「あれもいいなー! 先輩はどっちがいいと思いますかー?」
八幡「なんでもいいよ……」
いろは「その適当な答えはなんですか! もっと真剣に考えて下さいよ!」
八幡「そうだな。ここが女物のアパレルショップじゃなくて、スポーツ用品店なら真剣に吟味してやるんだがな」
8 : ◆LbeDggmp36 :2016/01/10(日) 17:39:18.43
いろは「寄り道は買い物の醍醐味じゃないですか」
八幡「そうか? いかに用件を早く済ませるか計算するのも楽しいけどな」
いろは「先輩はいつも一人で買い物してるから、そう思うんですよ」
八幡「いや、複数で買い物してるときもそうだぞ。早く帰りたいし」
いろは「だから、先輩は友達が少ないんですよ」
八幡「俺には、妹さえいればいいんだよ」
9 : ◆LbeDggmp36 :2016/01/10(日) 17:41:38.95
いろは「その目でシスコンとか犯罪の匂いが……」
八幡「目は関係ねえだろうが。それに俺は悪くない。小町が美少女なのが悪い」
いろは「……そんなに可愛いんですか?」
八幡「そうだなー。血の繋がりがなければ告白してるレベル」
いろは「それでフラれるわけですね?」
八幡「なに決めつけてんだよ。まぁ、否定はしないが」
いろは「そこは否定しましょうよ……」
10 : ◆LbeDggmp36 :2016/01/10(日) 17:44:51.61
スポーツ用品店
八幡「ジャージっていい値段するんだな」
いろは「そうですか? ここに置いてあるのは比較的安いほうですよ。まぁ、先輩はスポーツから遠く離れた存在ですから、ジャージの相場なんてわからないでしょうけど」
八幡「そんなスポーツとは縁のなさそうな男をなぜ呼んだ。それこそ、葉山と来れば良かったじゃねえか」
いろは「葉山先輩はいつも忙しそうなんですもん」
八幡「なら同じ部活の奴と行けばいいだろ。戸部なんて毎日暇そうだぞ」
いろは「酷いこと言いますね。戸部先輩だって受験の準備やら大変なんじゃないんですかね? 興味ないんでよくわかりませんけど」
八幡「お前も大概だけどな」
12 : ◆LbeDggmp36 :2016/01/10(日) 17:48:05.89
いろは「先輩、これとかどうですかねー?」
八幡「まぁ、いいんじゃねえの」
いろは「……似合ってますかね?」
八幡「その上目遣いやめろ。あざといぞ」
いろは「……だったんですけどね」
八幡「え?」
いろは「なんでもないですよ」
13 : ◆LbeDggmp36 :2016/01/10(日) 17:49:55.68
いろは「このジャージにしようかな」
八幡「おい、こっちに色違いのやつがあるぞ」
いろは「先輩ってピンクが好きなんですか? 前もピンクを勧めてきましたよね?」
八幡「そういうわけじゃないが、あざといお前にはピッタリかなって」
いろは「似合ってるってことですか?」
八幡「……性格がな」
いろは「なんですかそれ……。全然参考にならないんですけど……」
14 : ◆LbeDggmp36 :2016/01/10(日) 17:51:56.06
いろは「それじゃ、会計行ってきまーす」
八幡「結局、ピンクにするのかよ。一回着てみたほうがいいんじゃないか?」
いろは「いいですよ。時間掛かっちゃいますし」
八幡「もう少しだけなら付き合ってやるぞ?」
いろは「先輩はほんとに鈍感だなぁ……」
八幡「は?」
いろは「じゃあ、行ってきますね。そこら辺で待ってて下さい」
16 : ◆LbeDggmp36 :2016/01/10(日) 17:54:06.76
いろは「先輩、どこ行ってたんですか?」
八幡「悪い、少し買い物してた。これ、お前にやるよ」
いろは「へ?」
八幡「この間、万年筆もらったお礼だよ」
いろは「別にそんな……」
八幡「いいから、受け取ってくれ」
いろは「……ありがとうございます」
17 : ◆LbeDggmp36 :2016/01/10(日) 17:59:24.81
いろは「空けてみてもいいですか……?」
八幡「おう」
いろは「……これは」
八幡「悪いな。金がなくて、そんな物しか買えなかった」
いろは「嬉しいです!」
八幡「え?」
いろは「……どうですかね? 似合いますか?」
八幡「……お前、いいのか?」
いろは「なにがです?」
八幡「そんな、どこにでもある手袋もらっても……」
いろは「先輩はわたしをなんだと思ってるんですかね……。嬉しいに決まってるじゃないですか」
八幡「で、でも……」
いろは「大丈夫です。先輩の気持ちは伝わってますよ」
八幡「……なんの話だ」プイッ
いろは「さあ、なんでしょうね」クスッ
18 : ◆LbeDggmp36 :2016/01/10(日) 18:03:50.85
帰り道
八幡「外に出ると寒いな」
いろは「ですねー」ギュ
八幡「……」
いろは「先輩?」
八幡「……なんで手繋いでんの?」
いろは「だって寒いんですよね?」
八幡「それと、なにが関係あるんだよ」
いろは「先輩、手袋着けてないから温めてあげようと思って」
八幡「……あざといぞ」
いろは「失礼ですね。わたしが誰とでも手を繋ぐって思いますか?」
いろは「こんなことするのは……」
いろは「先輩にだけですよ」ニコッ
end